日本人が考えた【モノを持つ持ちやすさ】と【日本人のサイズ感】の関係

段々暖かく体の動きもよくなってきた今日この頃。
モノを運ぶことひとつにしても効率よく無駄は少しでも省きたいですよね。
こんにちは。佐藤です。

日本人の皆様にはなじみ深い畳について少しお話したいと思います。
畳は、地域によって多少違いはあるものの、概ね約90㎝×約180㎝で作られていて
人が座って使うスペースは半畳、寝転がるとだいたい一畳を使います。
両手両足を広げて寝てみるとだいたい二畳、坪数でいうと1坪ほど使います。

このサイズ感は、畳のほかにも『持つ』という場面でも活かされています。
モノを持つときに『腰で持つ』という表現を聞いたことがある方も多いのでは
ないでしょうか?
重いモノを持つときは、腕よりも腰の力を使うことにより体にかかる負担を
軽減することができるのです。

実はこのことが、住まいや道具のサイズにも影響しているのを知っていますか?
例えばですが、日本で昔から使われてきたお盆『長手盆』や『澄切膳』と呼ばれるお膳は
幅が36㎝であり、これは日本人の標準的な腰幅サイズになっているんです。
お盆やお膳の幅36㎝に両手の厚みを9㎝加えた45㎝が肩幅と同じになります。
旅館の仲居さんが片付ける食器に量は想像以上です。
これ以上の幅だと、かえって持ちにくくなり負担になります。
お皿をたくさん乗せたり、重ねたり積んだりしても負担の少ないようにする、
まさしく『腰で持つ』工夫なのです。

ビールコンテナ(20本入り)も短い幅が36㎝になっていて、こちら側を持つと、高さが
30㎝、重さが20㎏にもなりますが、ラクに持つことが可能なのです。
他には日本人の平均的な腰幅36㎝を基準として、電車のシートが作られていることです。
そのため、無作法な方がいたり、平均的な腰幅よりも大きな人いたりすると、
全体的に窮屈に感じてしまうんです。
電車に比べ、新幹線の座席は、もう少しリラックスをして座ることができるように作られています。
これは、二人掛けや三人掛けの座席の両端座席を44㎝、三人掛けの座席の中央席は両肩が
ぶつからないよう46㎝を基準に作られているそうです。
ちなみに、グリーン車の座席幅は50㎝に作られていて、わずか5㎝程度の座席の幅の違いではありますが
5㎝広がっただけでも、座り心地が大きく違うことに実感できるのです。

話は少しズレましたが、お盆やお膳をもってすれ違うには90㎝は少なくとも
必要になるため、これが廊下の幅になり」、畳の寸法やサイズの目安に
なっていたんです。
ちなみにですが、中京間91㎝、京間は95.5㎝、江戸間は85㎝で畳初作られています。
大きなモノを持つとき、持って歩くとき、ひとつの参考にしていただければと思います。

家族と未来をつなぐ家
KKU-KANproject空間工房 佐藤